一度来たお客様に2回目の来店を促すなら、全員への一斉配信から始める必要はありません。会計時に友だち追加してもらい、来店翌日のお礼と、来店周期の少し手前の案内を自動で送る。この3通の流れを先に作るほうが、少ない手間で2回目に届きます。この記事では、LINE公式アカウントの標準機能だけで、この流れを組む手順を整理します。
まず、この記事で作る流れを図にしておきます。
会計時に友だち追加してもらい、あいさつ、翌日から数日後のお礼、来店周期の手前の案内を経て、2回目の来店につなげる流れ
リピートの壁は「初回から2回目」にある
リピートを増やしたいとき、最初に手を打つのは初回から2回目への移り目です。3回目以降のお客様は自分で戻る理由を持っていますが、初回のお客様はまだそれを持っていないからです。
初回のお客様が戻らない理由は、仕上がりや味への不満とは限りません。むしろ「特に不満はないけれど、次にこの店を選ぶ理由も特にない」まま日常に戻り、次に必要になったときに、また検索や地図から店を選び直していることがよくあります。
上位表示されている解説記事の多くは、LINE公式アカウントの機能を一通り並べる形で書かれています。どれも正しいのですが、中小の店舗で機能を全部使い始めると、配信を作る時間がなくなって止まりがちです。対象を「初回に来た人」に絞り、送る中身を3通に絞ると、閉店後の短い時間でも回せる大きさになります。
会計時の友だち追加で「友だち追加日=初回来店日」にする
友だち追加は、会計のときにその場でお願いします。そうすると友だち追加の日が初回来店の日とほぼ重なり、LINE公式アカウントの標準機能であるステップ配信で、来店からの日数に合わせた案内を自動で送れるようになります。
ステップ配信は、友だち追加したユーザーに、あらかじめ用意した内容とタイミングでメッセージを自動配信する機能です。開始条件に「友だち追加」を選ぶと、追加してからの日数でメッセージを送れます。友だち追加の経路を選んで対象を絞ることもでき、マニュアルには店舗のQRコードで追加した人向けの「再来店の促進」テンプレートも用意されています。
出典 LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント ステップ配信マニュアル」(2024年4月16日更新)(2026年9月29日閲覧)
会計のときにお願いする理由はここにあります。店内のポスターを見て後日追加した人や、ホームページから追加した人は、追加日と来店日がずれます。会計時の追加に寄せておくほど、「来店の翌日」「来店から◯日後」という送り方の精度が上がります。
ポイント
マニュアルでは、実際の友だち追加日とシステムが追加を判定する日が異なり、配信が1日前後ずれることがあると説明されています。「翌日ぴったり」を狙いすぎず、「翌日から数日以内」くらいの幅で考えておくと扱いやすくなります。
声のかけ方は、特典の有無よりも「何が届くのか」を伝えるほうが大切です。「登録いただくと、次回のご来店に合わせたご案内を1〜2通お送りします」のように、届く通数と中身を先に伝えておくと、配信が多すぎて迷惑になるのではという心配を減らせます。
3通の中身は「お礼」「次に来る理由」「予約の入口」
3通それぞれの役割は1つずつです。1通に役割を詰め込むと、読んだ人が何をすればよいのか分からなくなるためです。
| 通 | タイミング | 中身 | 避けたいこと |
|---|---|---|---|
| ① あいさつ | 友だち追加の直後 | 登録のお礼と、これから何が届くか | いきなり次回の割引を押し出す |
| ② お礼 | 来店の翌日から数日以内 | 来店のお礼と、次に来る理由を1つ | お礼だけで終わる・理由を3つ並べる |
| ③ 案内 | 来店周期の少し手前 | そろそろの時期であることと、予約の入口 | 予約リンクや電話番号が書かれていない |
②の「次に来る理由」は、値引きでなくても作れます。美容室なら前回の施術に合わせた手入れの時期、飲食店なら来月から出る季節のメニュー、整体なら体の状態を確かめる目安の時期といった具合です。お客様にとって「そろそろ行く意味がある」と分かる情報が、2回目のきっかけになります。
③のタイミングは、業種の来店周期で決めます。ステップ配信の待ち時間は1ステップあたり1〜30日の範囲で設定でき、ステップを重ねれば、それより長い間隔にも対応できます。自店のお客様が前回からどのくらいで戻っているかを予約台帳で数件確かめ、その少し手前に置くのが外れにくい決め方です。
毎回クーポンを送る場合と、次に来る理由を1つ送る場合の違いの比較
2回目のきっかけに、何を送りますか
毎回クーポンを送る
- 値引きがある月だけ来店が増えやすい
- クーポンを止めると来店が落ちやすい
- どの案内で戻ったのか見分けにくい
次に来る理由を1つ送る
- 手入れの時期や季節のメニューを伝える
- 値引きしなくても送れる内容がある
- クーポンは使うとしても1通に1つまで
一斉配信は後回しでいい:通数と料金の見方
最初の数か月は、友だち全員への一斉配信を急がなくて構いません。3通の流れは新しく来たお客様にだけ届くため、通数が少なく、無料のプランの範囲に収まりやすいからです。
LINE公式アカウントには3つの料金プランがあり、無料のコミュニケーションプランは月200通、ライトプランは月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランは月額15,000円(税別)で30,000通まで配信できます。通数は「送った回数×送った友だちの数」で数えます。ステップ配信は通数に数えられますが、あいさつメッセージやチャットの送受信は数えられません。
出典 LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント料金プラン」(2026年9月29日閲覧)
たとえば、ひと月に新しく友だち追加してくれる初回のお客様が50人いる店なら、②と③の2通で計算上は100通になり、無料プランの200通に収まります。①のあいさつは通数に数えられません。一方で、友だちが300人いる店が全員に週1回の一斉配信をすると、計算上は月に1,200通前後となり、無料プランでは送り切れません。どこに通数を使うかを先に決めておくと、プランを上げるかどうかの判断もしやすくなります。
なお、料金プランと追加メッセージの料金は改定されることがあり、公式ページにも改定の告知が出ています。始める前と、プランを変える前には、公式の料金ページで最新の内容を確認してください。
確かめる数字は「2回目に来た人数」だけでいい
効果を確かめるときは、開封率より先に「初回のお客様のうち、2回目に来た人数」を見ます。この仕組みが動かしたいのはその数字であり、開封されていても来店していなければ目的は果たせていないためです。
数え方は難しくありません。月ごとに、初回のお客様の人数と、そのうち2回目に来た人数を予約台帳やレジの記録から控えておくだけです。あわせて、会計時に友だち追加してもらえた人数も控えておくと、止まっている場所が「追加してもらえていない」のか「届いているのに戻っていない」のかを分けて考えられます。
どこで止まっているのかを数字で切り分ける考え方は、「フォロワーが増えても売上につながらない理由」でも扱っています。SNSとLINEで数字の名前は違いますが、「届いた数」と「来店した数」を分けて見る点は同じです。
ここで一度、自店で確かめてみてください。先月はじめて来たお客様のうち、もう一度来てくれた人は何人いたでしょうか。この人数がすぐに分からない場合は、配信を作る前に、まずこの数字を控える欄を台帳に1つ足すところから始めると、あとの判断がぶれにくくなります。
まとめ:最初に作るのは、3通の自動の流れ
2回目の来店を促すために最初に作るのは、会計時の友だち追加を起点にした3通の流れです。一斉配信や細かな出し分けは、この流れが回り始めてからで間に合います。
進め方をもう一度整理します。
- 対象を「初回に来たお客様」に絞り、初回から2回目への移り目に手を打つ
- 友だち追加は会計時にお願いし、届く通数と中身を先に伝える
- あいさつ、翌日から数日以内のお礼、来店周期の手前の案内の3通をステップ配信で組む
- 次に来る理由は値引きに限らず、手入れの時期や季節の情報などで作る
- 毎月「初回の人数」と「2回目に来た人数」を控えて、止まっている場所を見る
なお、ここで挙げた手順は取りこぼしを減らすためのもので、再来店の増加を保証するものではありません。業種や来店周期によって効き方は変わりますので、設定した日付と、その後の2回目の来店人数を並べて記録しておくと、次に何を直すかの材料になります。
LINEに友だち追加してもらう前の段階、つまり初回の来店につながる経路を整えたい場合は「インスタが来店につながらない時の直し方」を、SNS全体の進め方から確かめたい場合は「SNS集客は何から始める?中小企業の進め方」をあわせてご覧ください。
よくある質問
LINE公式アカウントは無料で使えますか?
無料のコミュニケーションプランがあり、月額0円で月200通までメッセージを配信できます。LINEヤフー for Businessの料金ページでは、料金プランによって使える機能に差はなく、違いは無料で配信できる通数と追加配信の可否だと案内されています。通数は「送った回数×送った友だちの数」で数えますが、あいさつメッセージやチャットの送受信は通数に含まれません。料金は改定されることがあるため、始める前に公式ページで最新の内容を確認してください。
2回目の来店を促すメッセージは、いつ送ればよいですか?
目安は2回です。1回目は来店の翌日から数日以内に、お礼と次に来る理由を1つだけ添えて送ります。2回目は、その業種の来店周期が来る少し手前に、予約や来店の案内を送ります。来店周期は業種によって大きく違い、美容室と飲食店では数週間単位で差が出ます。自店のお客様が前回からどのくらいで戻っているかを予約台帳などで確かめてから日数を決めると、外れにくくなります。
再来店のメッセージにはクーポンを付けたほうがよいですか?
付けること自体は選択肢の一つですが、毎回クーポンだけを送る形はおすすめしていません。値引きがないと来ない来店が増えると、クーポンを止めた月に来店が落ちやすくなるためです。次に来る理由は、季節のメニュー、前回の施術に合わせた手入れの時期、空いている曜日の案内など、値引き以外にも作れます。クーポンを使う場合も、最初のうちは1通に1つまでにしておくと、どの案内で戻ってきたのかを後から判断しやすくなります。
以前から友だちになっている人にも、ステップ配信は届きますか?
開始条件を「友だち追加」にしたステップ配信は、指定した日付以降に友だち追加した人が対象です。LINEヤフー for Businessのマニュアルでは、過去の日付を追加日に設定しても、過去の友だち追加日から待ち時間が数えられるわけではないと説明されています。以前からの友だちには、ステップ配信とは別に、通常のメッセージ配信で案内を送る形になります。まずは新しく来たお客様から仕組みに乗せていくと、手間が増えにくくなります。
