SNS運用

どのSNSをやるべき?中小企業の選び方

並んだ6つの候補のうちいくつかが斜線で消され、矢印が下の1つの濃紺の四角に集まっていく様子を、白とネイビーの幾何図版で表したアイキャッチ
動画:この記事の内容を1分37秒で解説しています。読む前の全体把握にどうぞ。

どのSNSをやるべきかは、媒体の特徴を並べて比べても決まりにくいものです。決まりやすいのは、候補を足していくのではなく、外す理由がはっきりしているものから落としていったときです。この記事では、候補を落とすための3つの基準と、最後に1つへ絞るときの考え方、そして始める前に書いておく「やめる基準」までを順番に整理します。媒体の一覧表ではなく、自社で1つに決めきるための手順としてご覧ください。

まず、この記事で進める順番を先に示します。

候補を並べ、顧客がいない媒体を外し、素材を出せない媒体を外し、残った1つで90日試すという4つの手順

候補を並べる 主要6媒体を机に載せる
顧客がいない媒体を外す 年代別の利用率で確認
素材を出せない媒体を外す 写真・動画・テキスト
残った1つで90日試す やめる基準を先に書く
図1:足していく順ではなく、落としていく順で考えます。落とす理由のほうが、選ぶ理由より言葉にしやすいためです。

「どれが良いか」ではなく「どれを外すか」から決める

媒体は、選ぶより先に落としたほうが早く決まります。主要な候補は6つほどしかなく、外す理由がはっきりしているものから消していくと、多くの場合1つか2つしか残らないためです。

比較表を見ても決めきれない理由は、表に書かれているのが「その媒体で何ができるか」だからです。できることを並べれば、どの媒体にも良いところが見つかります。一方で、社内で本当に問題になるのは「その媒体で何ができないか」「自社に何が足りないか」のほうです。撮る人がいない、話す人がいない、返信する時間がない。こうした事情は表には載っていません。

落とす作業から始めると、この事情が最初に出てきます。「動画は誰も撮れない」と口に出した時点で、動画が中心の媒体は候補から消えます。残ったものだけを比べれば、比較する対象は2つか3つになり、判断は一気に軽くなります。

ポイント

同時に複数の媒体を開設して、どれが伸びるか様子を見る進め方もあります。ただし担当者が1人か2人の会社では、投稿が分散するだけでなく、反応の見方も媒体ごとに違うため、「どれが効いたのか」を後から言いにくくなります。1つに絞るのは節約のためではなく、判断できる状態を作るためです。

なお、SNSを検討する前に確かめておきたいことが1つあります。SNSは知ってもらう入口で、比較や申し込みは別の場所で起きます。投稿を見た人が移動する先(ホームページの該当ページ、予約ページ、LINE)が用意できていない状態で媒体だけを決めても、成果の手前で止まります。この受け皿の考え方は「SNS集客は何から始める?中小企業の進め方」で詳しく整理しています。

顧客がいるかどうかは、年代別の利用率で確かめる

顧客層に近い年代の利用率が低い媒体は、その時点で候補から外して構いません。投稿の質を上げても、そこに相手がいなければ届く人数は増えないためです。

総務省が公表している調査では、主なサービスの利用率が年代別に出ています。全体の数字だけを見ると判断を誤りやすいので、自社の顧客に近い列を見ます。

表1:主なソーシャルメディア系サービスの利用率(年代別・令和7年度)
サービス全年代20代30代40代50代60代70代
LINE92.9%97.7%97.9%96.6%95.6%92.0%77.8%
YouTube81.5%96.3%94.0%91.6%84.9%72.6%48.5%
Instagram54.8%82.6%76.6%67.1%54.4%36.1%15.8%
X(旧Twitter)44.7%73.4%67.7%57.0%40.2%24.8%10.8%
TikTok36.7%61.5%44.7%42.6%32.2%21.2%11.1%
Facebook27.0%23.4%37.4%38.9%33.1%22.6%12.5%

出典 総務省情報通信政策研究所「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(令和8年6月26日公表)(2026年9月8日閲覧)

この調査は13歳から79歳までの男女1,800人を対象に、令和7年12月1日から7日にかけて訪問留置調査で実施されたものです。年代別の回答者数は20代218人、30代235人、40代298人、50代338人、60代274人、70代297人となっています。

表の読み方は1つだけです。自社の顧客に近い年代の列を上から見て、数字が小さい行を候補から外します。たとえば主な顧客が60代から70代であれば、Instagram(60代36.1%・70代15.8%)とX(60代24.8%・70代10.8%)は、同じ手間をかけても届く相手が少ない媒体ということになります。逆に顧客が20代から30代であれば、この2つは候補に残ります。

男女で差が出る媒体もあります。同じ調査では、Instagramの利用率は男性46.2%に対して女性63.4%、TikTokは男性31.8%に対して女性41.7%でした。女性客が中心の商売であれば、全年代の数字よりも高く見積もってよい場合があります。

ポイント

利用率は「その媒体に人がいるか」を示す数字であって、「その人が自社の商品を買うか」を示す数字ではありません。落とす判断には使えますが、選ぶ理由をこの数字だけで作らないほうが安全です。利用率が高い媒体を選んだのに反応が無い場合、原因は媒体ではなく、伝える相手や内容の側にあることが多くあります。

店舗商売なら、SNSより先に確かめる場所がある

来店してもらう商売の場合、SNSを決める前にGoogleビジネスプロフィールの状態を見ておくと順番を間違えにくくなります。「地域名+業種」で探している人は、SNSではなく地図と検索結果に先に現れるためです。ここが整っていない状態でSNSに時間を使うと、いちばん買う気の強い人を取りこぼしたまま、認知だけを増やすことになります。詳しくは「MEO対策のやり方 Googleマップ集客」で整理しています。

出せる素材の形で、もう一段落とす

手元に無い素材を前提にした媒体は、始めた月に止まりやすくなります。投稿が続かない理由の多くは、やる気ではなく、素材を作る工程が業務の中に無いことだからです。

媒体ごとに、1本の投稿に必要なものは違います。写真が中心の媒体、動画の撮影と編集が前提の媒体、文章だけで成立する媒体があり、それぞれ社内で誰が手を動かすかが変わります。

毎月用意できる素材が写真か、話す内容や文章かによって、候補に残る媒体が変わることを示した比較

自社で「毎月」用意できるのはどちらですか

A

現場の写真が撮れる

  • 施工前後、商品、店内、作業風景
  • スマホで撮って選ぶだけで1本になる
  • Instagram・Googleビジネスプロフィールが候補に残る
B

写真は撮れないが、話せる・書ける

  • よくある質問、判断の理由、失敗しない選び方
  • 打ち合わせで話している内容がそのまま素材
  • X・YouTube・自社ブログが候補に残る
図2:どちらも用意できない場合は、媒体を変えるのではなく、素材を作る工程を業務のどこに置くかを先に決めます。

素材の形が決まったら、月に何本作れるかを時間から逆算します。1本作るのにかかる時間を1回だけ計り、月にSNSへ使える時間をその値で割ると、無理のない本数が出ます。1本60分で月6時間なら月6本です。

表2:媒体ごとに必要な素材と、社内で発生する作業
媒体必要な素材社内で発生する作業
Instagram写真、または短い縦動画撮影、選定、文章、返信
X(旧Twitter)短い文章執筆、返信
YouTube長めの動画、話す内容の準備撮影、編集、概要文、コメント対応
TikTok縦の短い動画撮影、編集、企画
LINE公式アカウント案内文、クーポンや予約の中身配信文の作成、友だちを増やす声かけ
Facebook写真と文章執筆、既存の取引先との関係維持

ここで残る媒体が1つになったなら、その時点で決めて構いません。2つ残った場合は、次の見方で並べ替えます。

最後の1つは「やめたときに何が残るか」で決める

同じくらい迷ったときは、やめたときに失うものが少ない媒体から始めるほうが、やり直しの負担が軽くなります。最初の1つが自社に合わないことは十分あり得るので、乗り換えやすさを条件に入れておきます。

媒体は、大きく2つの型に分かれます。1つは投稿が残って後からでも見つかる型、もう1つは届け先の名簿が育つ型です。

表3:やめたときに何が残るか
主な媒体続けている間の効き方やめたときに起きること
投稿が残る型Instagram、YouTube、X過去の投稿が検索やおすすめから見つかる新規の投稿は止まるが、過去分は残る
名簿が育つ型LINE公式アカウント友だち追加した人に直接届く届け先そのものへの接点が止まる

名簿が育つ型には、もう1つ知っておきたい性質があります。LINE公式アカウントの無料プランで送れるのは月200通で、通数は「メッセージを送った回数」×「送った友だちの数」で数えます。1回の配信が最大3吹き出しまでという扱いです。

出典 LINEヤフー株式会社「LINE公式アカウント料金プラン」(2026年9月8日閲覧)

つまり、友だちが50人の状態で月4回配信すると50×4で200通となり、無料の枠を使い切ります。友だちが200人に増えれば、月1回の配信で200通です。友だちが増えるほど配信のコストが上がる構造なので、うまくいったときに月額5,000円(税別)のライトプランへ移る前提で見ておくと、後から慌てずに済みます。

この性質は欠点ではなく、役割の違いです。知ってもらう入口を増やしたいのか、一度来た人にもう一度来てもらいたいのかで、選ぶ型が変わります。前者なら投稿が残る型、後者なら名簿が育つ型が担当します。

ポイント

すでにホームページからの問い合わせが月に数件ある会社であれば、新しい入口を増やすより、いま来ている人を取りこぼさない側から手を付けたほうが効くことがあります。判断の順番は「ホームページの問い合わせを増やすには」で整理しています。

始める前に、やめる基準を紙に書く

選んだ媒体を続けるか変えるかの基準は、始める前にしか正直に書けません。走り出してからでは、続ける理由もやめる理由も、その時点の状況に合わせて作れてしまうためです。

書くのは3行だけで足ります。①いつ判断するか、②何の数字を見るか、③どうなっていたら続けるか。90日を1区切りにする例が多いのは、投稿の型が固まるまでにひと月、反応が読めるようになるまでにさらにふた月ほどかかるためですが、期間そのものより「何が起きていたら続けるのか」を先に決めておくことが重要です。

表4:始める前に埋めておく判断シート(記入例つき)
項目記入例自社の記入欄
選んだ媒体Instagram 
判断する日2026年12月8日 
毎月控える数字①投稿できた本数(目標6本) 
毎月控える数字②プロフィールから受け皿ページへの移動数 
毎月控える数字③問い合わせ・予約・来店の件数 
続けると判断する条件①が3か月とも4本以上、かつ②が右肩上がり 
変えると判断する条件①が守れていない(媒体ではなく体制の問題) 

この表で分かれ目になるのは、最後の2行です。投稿できた本数が守れていないのに媒体を変えると、次の媒体でも同じことが起きます。逆に、本数は守れているのに②③が動かないのであれば、媒体か、伝える相手か、受け皿のどれかを見直す番になります。「合わなかった」で終わらせず、体制の問題と媒体の問題を分けて記録しておくことが、2つ目を選ぶときの材料になります。

数字の見方をもう少し細かく知りたい場合は、「フォロワーが増えても売上につながらない理由」で、どの段階で人が止まっているかを切り分ける手順を扱っています。

ここまで読んで、いま候補に残っているのはどの媒体でしょうか。そして、何か月後に何が起きていたら「続ける」と判断しますか。この2つに答えが出ていれば、媒体選びはもう終わっています。

まとめ:選ぶ理由より、外す理由のほうが言葉にしやすい

どのSNSをやるべきかは、比較表の中ではなく、自社の事情の中にあります。顧客がいない媒体、素材を出せない媒体、時間が足りない媒体を外していけば、残るものは多くありません。

進め方をもう一度整理します。

  • 主要6媒体を並べ、顧客層に近い年代の利用率が低いものを外す
  • 毎月用意できる素材(写真・動画・文章)で、もう一段外す
  • 2つ残ったら、やめたときに失うものが少ないほうから試す
  • 始める前に、判断する日・見る数字・続ける条件の3行を書いておく

SNSはWeb集客の一部で、ホームページ、検索、地図、広告と役割を分け合っています。全体の中でSNSがどこを担当しているのかを先に押さえたい場合は、「中小企業のWeb集客 何から始めるか」をご覧ください。広告と比べて考えたい場合は「中小企業のリスティング広告の始め方」もあわせてどうぞ。

なお、ここで挙げた手順は判断の材料をそろえるためのもので、成果を保証するものではありません。自社の商圏や商材によって結果は変わりますので、3か月ごとに記録を見ながら進め方を調整していくことをおすすめします。

よくある質問

中小企業はどのSNSをやるべきですか?

どれが良いかを比べるより、候補から外す作業を先にするほうが早く決まります。外す基準は3つあります。1つ目は、自社の顧客層に近い年代の利用率が低い媒体。2つ目は、投稿に必要な素材(写真、動画、テキスト)を自社で用意しにくい媒体。3つ目は、月に使える時間で本数を作れない媒体です。この3つで落としていくと、たいてい1つか2つしか残りません。残ったものから、やめたときに失うものが少ないほうを先に試す形が扱いやすいです。

複数のSNSを同時に始めてはいけませんか?

禁止されているわけではありませんが、担当者が1人か2人の会社では、同時開設で全部が中途半端になりやすい傾向があります。理由は投稿の手間だけではありません。媒体ごとに反応の見方も、うまくいく投稿の形も違うため、判断材料が分散して「どれが効いたのか」を後から言えなくなります。まず1媒体で3か月続けて、運用の型と数字の見方ができてから2つ目を足すほうが、結果として早く進みます。

利用率が高いSNSを選べばよいのですか?

利用率は「その媒体に人がいるか」の出発点にはなりますが、それだけで決めると続かないことがあります。総務省の令和7年度調査では全年代のLINEの利用率が92.9%と最も高いものの、LINEは友だち追加してくれた人にしか届かない媒体で、新しく知ってもらう役割は得意ではありません。利用率の高さと、自社が担わせたい役割は別の話です。顧客層の年代・出せる素材・使える時間の3つと合わせて見ます。

選んだSNSをやめるかどうかは、いつ判断すればよいですか?

判断の時期と基準は、始める前に決めておくことをおすすめしています。90日を1区切りにする例が多いですが、期間そのものより「何が起きていたら続けるのか」を先に書いておくことが重要です。投稿できた本数、プロフィールから受け皿ページへ移動した人数、問い合わせや来店の件数の3つを毎月控えておくと、判断の材料がそろいます。基準を後から決めると、その時点の気分で続ける理由も、やめる理由も作れてしまいます。

この記事を書いた会社

つなぐ集客ラボ編集部(株式会社TSUNAGU

東京・渋谷を拠点に、中小企業のWEBマーケティング・集客支援を専門とする会社です(年間3,000件のHP制作実績・2026年時点)。ホームページ制作からSNS・Googleマップ・広告運用まで、現場で実際に効いた打ち手を、このメディア「つなぐ集客ラボ」で発信しています。「うちのサイトはどこが弱いのか」といった漠然としたご相談も歓迎です。

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